村田さんの遺影を囲み思い出を語り合う会員たち=清水町

 ■講師・村田稲造さん死去…、思い出語り合いしのぶ

 熱海市の市民大学講座にはじまり、27年にわたり続いてきた古典文学を学ぶ会「近松を読む会」が4日、歴史に幕を閉じた。講師を務めてきた近世文学研究家・村田稲造さん(享年89)=伊東市=の死去に伴い、終了を決めた。同日、熱海市清水町のコミュニティーホール初川で村田さんをしのぶ会を開き、集まった会員30人が思い出を語り合った。

 村田さんが生前、講義した席に遺影と花が飾られた。会員は「先生のおかげで文学を楽しむという一つの世界を得られた。自分の心を豊かにしてくれた」「人生を楽しむすべを学べた」「知的な刺激をもらった」などと感謝の言葉を述べた。「こんなに早く先生と別れることになり残念」「まだまだ学ばせてもらおうと思っていたのに…」と声を詰まらせる会員もいた。

 市中央公民館主催の市民大学講座が“前身”で、1990年から「徒然草」「伊勢物語」、97年以降はもっぱら近松門左衛門の作品を取り上げた。2001年にOB会、翌02年からは同好会として毎月1回、勉強会を続けた。会の原点に戻り「曽根崎心中」を題材にした本年度は、伊豆の各市から40人余りが受講した。千葉県から通う会員もいた。村田さんが体調を崩した7月以降は休講が続いた。

 村田さんは1月5日、死去した。しのぶ会では本年度初回の講義を収録したCDが流された。作品の概要や時代背景などを解説する村田さんの声に、会員はじっと耳を傾けた。

 会の代表を務めてきた石田敏さん(91)は「先生は博識、多才でどんな質問にも答えてくれた。今は寂しさと感謝の思いでいっぱい」と話した。世話人の一人菊間京子さん(67)は「先生の魅力と、運営する人、受講者のバランスが取れたいい会だったと自負している。これだけ続いたことを誇らしく思う」と語った。

 【写説】村田さんの遺影を囲み思い出を語り合う会員たち=清水町