丹那神社に玉串をささげ、手を合わせる参列者=福道町

 ■神社例祭に50人参列、歴史後世に

 JR東海道線・丹那トンネル工事の殉職者をまつる熱海市福道町の丹那神社で2日、例祭が催された。同神社奉賛会や市、函南町と各市町議会、各種団体、JR関係者ら約50人が参列し、殉職者67人の霊を慰めるとともに、熱海発展の礎となった丹那トンネルの歴史を後世に伝えていくことを誓った。

 来宮神社の雨宮盛克宮司が神事を行い、参列者が順に玉串をささげた。雨宮宮司は「新年度の始まりに、英霊たちに恥じぬように決意を固める祭りだと思う。例祭を通じ多くの人が縁を結んでほしい」とあいさつ。斉藤栄市長、森延彦・函南町長、宮原智子・JR東日本熱海駅長らが殉職者をはじめ工事関係者への感謝を述べた。

 元国鉄総裁で同奉賛会名誉会長を務めた故・仁杉巌さんと親交のあった久間章生元防衛相も参列し「尊い犠牲の上に熱海の発展があることに思いを寄せてほしい」と話した。田島秀雄・同奉賛会長は「大崩落事故から100年の節目となる4年後に向け、準備を進めていきたい」と力を込めた。

 同神社周辺では町内会や子ども会による模擬店、大楠連の神輿(みこし)渡御、熱海笛伶会の演奏が催され、家族連れなどが楽しんだ。

 同神社は1921(大正10)年4月1日の大崩落事故で犠牲になった16人の鎮魂と工事の守り神として創建され、その後の殉職者を順次合祀(ごうし)した。祭礼は当初、国鉄関係者を中心に行っていたが民営化の影響で中断したため、地域住民を中心に結成した奉賛会が継続している。

 ■大楠連、神輿担ぎアピール

 熱海市民有志でつくる奉仕団体「大楠連」(待井裕晃代表)は丹那神社例祭に合わせて2日、JR熱海駅前で神輿(みこし)の渡御を行った。会員と市内外の愛好者ら約200人が参加し、2基の神輿を担いで駅前広場などを威勢良く練り、例祭をアピール。駅を利用する行楽客らの目を引き付けた。

 駅前広場での練りは初めて。昨秋、新しい駅ビルがオープンしたことから、祝いも兼ねて企画し、JR東日本熱海駅の理解を得て実現した。熱海笛伶会が協力し、軽快な演奏で盛り上げた。

 宮原智子・同駅長が「丹那トンネルの開通により東海道線が発展した。先人の偉業を胸に刻み、日々の安全運行に努めていく」とあいさつし、神輿の担ぎ手にも加わった。「ドッコイソーリャ」「ドッコイ、ドッコイ」といった威勢の良い掛け声や甚句が響く中、神輿が練ると、駅や周辺にいた行楽客も足を止めて見守った。

 記念撮影を楽しむ姿も見られた。3世代旅行で埼玉県飯能市から訪れていた野村ヤスコさん(65)は「地元で神輿を担いでいるので、音が聞こえてきてそわそわした。偶然にも熱海で神輿を見ることができて良かった」と満足そうに話した。

 大楠連は2010年に結成、丹那トンネル工事関係者の子孫がメンバーにいたことから、同例祭で神輿渡御を始めた。例年、同神社周辺と熱海駅前の平和通り商店街を練っている。今年は市内の神輿愛好者が相次いで死去したため、会員らは喪章を着けて参加した。

 【写説】丹那神社に玉串をささげ、手を合わせる参列者=福道町

 【写説】宮原駅長も担ぎ手に加わり、威勢良く練る神輿=JR熱海駅前