谷奥さん(右)と一緒に料理の下ごしらえに当たる利用者=上多賀の多賀屋別邸

 熱海市上多賀の鳥料理専門店「多賀屋別邸」が今春、障害者の就労継続支援事業所として新たなスタートを切った。市内に住む男女3人が相次いで利用者となり、スタッフと共に飲食に関わる作業に励んでいる。運営する環相模湾経済パートナーシップ協議会の横松誠代表は「障害者が働く喜びを感じ、安定した収入を得、生活を豊かにしていく手伝いをしていきたい」と話す。

 昨春オープンした同店は、閑散期対策を模索する中で店を福祉の拠点とすることを決め、同協議会を立ち上げた。利用者の作業内容の検討とあわせ商品開発も進め、いなりずし弁当「熱福(あたふく)」を完成させた。

 事業の柱は食事処・カフェ運営の「飲食」と、駅弁・土産菓子製造の「熱海活性化プロジェクト」の二つ。利用者はランチ営業時間は調理補助や洗い場を担当し、その前後は弁当の下ごしらえや箱詰め、梱包(こんぽう)作業に当たる。

 男性利用者(40)は「自分にやれることがあるのなら頑張りたいと思った。調理の仕事はできそうなので、続けて働きたい」と意欲を語った。サービス管理責任者の谷奥加奈子さんは「それぞれの得意分野を生かして働けるように工夫し、支援している。店を営業しながらの作業で人と関わることも多く、利用者にとっては働いているという実感につながると思う」と話す。

 飲食業の知識や能力を身に付けてもらうことで、他の飲食店への就職など利用者の“ステップアップ”につなげたい考え。横松代表は「営業との両立など課題はあるが、改善しながら事業を進めていきたい」と表情を引き締める。

 一日の利用定員は20人。問い合わせは同協議会〈電0557(52)6465〉へ。

 【写説】谷奥さん(右)と一緒に料理の下ごしらえに当たる利用者=上多賀の多賀屋別邸