千利休書状(MOA図録より)

 ■MOA美術館所蔵 「価値の高い史料」

 熱海市は24日、桃山町のMOA美術館が所蔵する「千利休書状(せんのりきゅうしょじょう)」=熱海入湯の文(あたみにゅうとうのふみ)と、「謡本熱海(うたいぼんあたみ)」=伝沢庵宗彭自筆(でんたくあんそうほうじひつ)を市の有形文化財に指定した。

 「千利休書状」は、織田信雄の重臣だった羽柴下総介(滝川雄利)に宛てたもの。贈り物への礼と、古田織部(古田重然)とともに熱海に湯治したことを伝えた。

 利休が小田原合戦に従軍した1590年に書かれた書状と考えられている。16世紀以前の湯治について記された古文書がほかになく、価値の高い史料という。

 「謡本熱海」はたくあん漬けの考案者とも言われる沢庵宗彭の自作と伝えられる。1640年に伊豆山に滞在したことが確認されている。謡曲を学ぶ稽古本である謡本は、81年に江戸の碧屋で版木印刷、出版された。東国行脚の僧が、林業従事者に扮(ふん)した薬師如来から熱海一帯で湧く温泉の名所を教わる内容で、近世の熱海温泉の歴史を語る資料とした。今回は11年ぶりの指定で、市の文化財は30件になった。

 【写説】千利休書状(MOA図録より)―熱海