新作能「貫一・お宮」を謡いと語りで披露する宗片さん=起雲閣

 ■宗片さん、新作能を披露 

 熱海市昭和町の起雲閣音楽サロンで27日、尾崎紅葉生誕150周年を記念した新作能「貫一・お宮」の公演が開かれた。作者で静岡大名誉教授の宗片邦義さん(83)=同市桃山町=が謡いと語りを披露し、市内外からの来場者約130人を引き付けた。

 熱海の名を全国に広めた紅葉の名作「金色夜叉」を題材にした作品で、熱海海岸での貫一・お宮の別れのシーンなどを現代語の分かりやすい詞章で能風にまとめた。物語を紹介する「間語り」を挟み、最後はお宮のことを許した貫一が夢の中で一緒にあの世に落ちてゆく―というシーンを作り上げた。

 公演では能の歴史に触れ「能は祈りの芸術、救いの芸術」などと解説した上で、謡と語りを繰り広げた。来場者からは「言葉の大切さを感じた」「最後の場面は涙が出る思いだった」といった声が上がった。市内の女性(69)は「能舞台で上演されるのを見てみたい」と期待を話した。

 宗片さんは公演に手応えを感じた様子で「市内には立派な能舞台がある。熱海を題材にした新作能が上演され、熱海発展の一翼を担えればうれしい」と思いを語った。

 公演は郷土研究グループ「伊豆の日金・熱海を語る会」と有志のグループ「みもざの会」が主催した。

 【写説】新作能「貫一・お宮」を謡いと語りで披露する宗片さん=起雲閣