熱海市が自殺対策基本法に基づく「自殺総合対策計画(仮称)」を策定している。人口10万人当たりの自殺者数が全国、県の平均を大きく上回る現状を重く受け止め、自殺の防止を図る。計画には自殺の危険を察知するボランティア「ゲートキーパー」の養成、市の各課窓口を「生きる支援」の入り口とする体制強化などを盛り込む。

 警察庁のまとめによると、昨年1年間の自殺者数(速報値)は前年より757人少ない2万1140人で、8年連続で減少した。1~11月の集計では、成人の自殺者が減少した一方で未成年は増加し、前年同期比29人増の516人となった。

 厚生労働省の資料によると、同市の2012~16年度の5年間の自殺者は計45人。人口10万人当たりの自殺者数(自殺死亡率)は年平均23・2人で、全国の19・3人、県の19・0人を上回る。特徴としては60歳以上が全体の35%を占め、病気や健康、仕事や経済的な理由から自ら命を絶った人が多かった。背景としては高い高齢率、基盤の弱い産業構造などが考えられている。

 自殺総合対策計画は、自殺死亡率を米国やドイツの水準に並ぶ13人とする数値目標を打ち出した政府方針を受けて、都道府県と市町村が16~17年度中に策定する。同市では県内でいち早く策定に着手し、アンケート調査などを踏まえて現状と課題を整理し、対策を示す方針。具体的施策については自殺予防の啓発、ゲートキーパーの養成、相談窓口の充実、医療機関との連携強化などを盛り込む。相談窓口の充実に関しては市役所各課で受け付けた相談を関係する各課で共有し、継続してフォローしていく体制を整える。

 2月中に素案を作成して本年度立ち上げた自殺対策計画策定懇話会に諮り、来年度から計画に基づく施策を推進する。市長寿介護課の担当者は「数値目標を計画に盛り込むかは検討中だが、自殺者を出さない対策を進めたい」と話した。