レモンの収穫に当たる太田さん=伊豆山

 ■飲食店に直販、好評

 熱海が日本のレモン栽培発祥の地だとアピールしたい―。そんな思いでレモン栽培を手掛ける男性がいる。熱海市伊豆山の元市職員太田滋さん(61)で、父親から受け継いだ畑などで苗木を含め十数本を育てる。農産物品評会への出品をきっかけに、太田さんのレモンを直接仕入れる飲食店も市内に出てきた。「ダイダイのように“熱海のレモン”も注目を集めるようになるといい」と思いを話す。

 熱海とレモンの関係は「明治の初めに治療のために熱海に来ていた外国人によってレモンの種がまかれた」「明治6(1873)年、ある外国人が熱海に湯治に訪れた際、食膳に供されたレモンの種を庭にまいた」などと各種資料に記されている。父亡き後、太田さんは栽培するかんきつ類の種類を増やす中で、日本で最初にレモンの種が植えられたのが熱海だとされることに興味を持ち、栽培本数を増やした。

 一般的な品種「リスボン」や酸味の少ない「マイヤーレモン」を中心に十数本を育てる。一昨年の秋、初めて熱海地区農業祭の農産物品評会に出品したところ、中央町の飲食店から購入希望の連絡が入った。昨秋の収穫期から同店に直接、販売している。店では“熱海産のレモン”をアピールしながら、各種レモンサワーを提供。昨今のレモンサワー人気もあり、好評を集めているという。

 太田さんによると、伊豆山地区でも畑にレモンが植わる農家はあるが、実はほとんど自家消費されているという。「うちでは年間300キロほど収穫するが、売れるのは3分の1程度。品種を増やしながら販路を広げていきたい。ダイダイのように活用が広がるといい」と期待する。

 【写説】レモンの収穫に当たる太田さん=伊豆山