広辞苑などの遺品を間近で見て杉本さんをしのぶ来場者=起雲閣

 ■生前の映像や遺品、自筆原稿など 

 熱海市の名誉市民で文化勲章受章の作家杉本苑子さん(1925~2017年)の没後1周年企画展「杉本先生に会いたい…」が命日の31日、起雲閣と旧居「彩苑」で始まった。市内外からの来館者が生前の映像や遺品、自筆原稿などを間近で見学し、杉本さんをしのんでいる。

 市教育委員会が企画した。起雲閣の「鶯(うぐいす)の間」では、1996年7月に彩苑で開催の市民文化座談会で講演する杉本さんの姿をスクリーンに映したほか、愛用の広辞苑と万年筆、位記などが並んだ。杉本さんが直木賞を受賞した際、恩師吉川英治の妻から祝いの品として贈られたという吉川英治宛の直木三十五の手紙もある。

 都内からの旅の途中に起雲閣を訪れたという小関知子さん(68)は「杉本さんが熱海に住んでいたことも、亡くなったことも知らなかった。若い頃に作品を読んでいたので、思いがけず出会えたように思った」と話した。彩苑の管理に携わる小田書代さん(76)は、「彩苑で見る映像よりも若い頃の先生を見ることができた」と感慨深げに語った。

 彩苑では、杉本さんが26歳の時に懸賞小説に投稿し、入選した「申楽(さるがく)新記」の自筆原稿が初公開され、注目を集めた。

 企画展は起雲閣、彩苑いずれも3日まで。時間は午前10時~午後4時。

 【写説】広辞苑などの遺品を間近で見て杉本さんをしのぶ来場者=起雲閣