海に面した窓ガラスが割れ、破片が散乱したメインダイニング=熱海のホテル・ニューアカオ

 伊豆半島の一部を暴風域に巻き込み、29日朝西日本へ向かった台風12号の影響で、熱海市では熱海港にある市浄水管理センターの建物が壊れるなど、海岸部の公共施設、宿泊施設、公園、海水浴場などを中心に被害が目立った。一部宿泊施設では、割れた窓ガラスの破片でけが人が出た。

 ■大ガラス割れ5人けが ニューアカオレストラン

 宿泊施設のうち熱海のホテル・ニューアカオでは28日午後7時40分ごろ、2階レストランの海側の窓ガラスが割れ、子どもを含む宿泊客4人と従業員1人が足などを切り、市内の病院に運ばれた。いずれも軽傷。

 同ホテルによると高さ5・4メートル、幅2・2メートルの窓ガラスが5枚破損した。当時レストランには約200人がいた。

 1階廊下の窓も割れたため、1、2階を全面封鎖し、15階のサロンで夜食や朝食を出した。宿泊客の40代男性は「食事中、窓に波が当たるのを見て、珍しいと話していた。パラパラという音がしてきたらと思ったらガシャンと割れ、海水が入った」と当時の様子を語った。

 東海岸町の有料道路・熱海ビーチライン沿いのホテルのうち、リゾーピア熱海は建物1階の壁2カ所が大きく破損した。駐車場では複数の車両が山側の壁に乗り上げるなどして壊れた。ウィスタリアンライフクラブ熱海は地下の電気設備が浸水し、停電したため宿泊客を他の施設に案内するなど対応したという。

 ■道路が破損、復旧めど立たず ビーチライン

 有料道路・熱海ビーチラインは、海側のコンクリート製の壁が波で流されたり、道路が破損したりした。復旧のめどは立っていないという。高波の影響で28日午後6時45分から通行止めにしていた。

 ■タイル剥がれ各所に散乱 ムーンテラス

 渚町の熱海ムーンテラスでは、テラスの表面に張ったタイルが各所で剥がれ、階段付近やテラス前の石積みなどに散乱した。先端部分のモニュメント付近では、噴水を囲む縁石が一部なくなった。

 隣接する熱海サンビーチでは、遊泳区域を仕切るブイが流されたため、29日は遊泳禁止とした。

 多賀地区の長浜海水浴場は、エリア内に設置していた浮き台が砂浜に打ち上げられたが、区域を示すブイは無事で、遊泳注意で営業した。

 ■3棟、高波被害 市浄水管理センター

 和田浜南町の市浄水管理センターでは建物4棟のうち、旧下水処理施設の建物を除く3棟で高波による被害があった。窓ガラスや出入り口のドア、壁などが波や波に運ばれた石などで破られた。

 ■初島防波堤通路の底抜ける 食堂街は床上浸水

 初島では、港や食堂に高波の被害が出た。新藤康晴区長によると、港の防波堤の通路部分の底が幅5メートル、長さ15メートルほどにわたって抜けた。食堂街の多くの店とダイビングセンターは床上浸水し、建物の一部が壊れた。「満潮と台風のうねりが重なったようで、港の中が波でいっぱいだった」と話した。

 ■海釣り施設横防波堤破損 熱海港

 熱海港では熱海港海釣り施設横にある防潮堤が幅約4メートルにわたって壊れ、海釣り施設と可動式事務所の間にあったフェンスやスロープ、電源施設などが流された。

 波で周辺のアスファルトなどもめくれ上がり、壊れた堤防の土砂などとともに、港湾道路に散乱した。駐車場側にあるトイレも傾くなどの被害があった。

 ■小中学校など11施設に避難所 市が開設

 熱海市は28日午後4時45分、市内の小中学校など11施設に避難所を開設した。同9時半までに52人が避難した。

 【写説】海に面した窓ガラスが割れ、破片が散乱したメインダイニング=熱海のホテル・ニューアカオ