さえざえとした月の下で「実朝の舞」を奉納する地元中学生=伊豆山神社

 ■伊豆山、献歌朗詠や献読、献奏も

 「中秋の名月」の24日夜、熱海市内の伊豆山、来宮両神社で、観月行事が催された。さえざえとした月の明かりの下で市民らが舞や演奏を楽しんだ。

 伊豆山神社では同市と伊豆山温泉観光協会が「十五夜祭」を開いた。「第67回源実朝をしのぶ中秋の名月伊豆山歌会」の一環で、本殿前の特設舞台で出席歌人による献歌、地元中学生による「実朝の舞」の奉納などを繰り広げた。

 神事に続き、歌会のジュニア部門で天位に選ばれた小中学生4人のうち、渡辺晃平君(第二小6年)、横井日々喜さん(熱海中3年)、安保英美さん(同1年)が自作を読み上げ、高野公彦さんら出席歌人4人が奉書紙にしたためた献歌を朗詠した。

 同神社に伝わる「実朝の舞」は熱海中3年の豊嶋望生さん、和田愛海さん、坂本紗花さん、当摩由奈さん、中田百美さんが奉納した。作家の冴月さくらさんは「平家物語」を献読し、加藤登美緒さんと山口真紀さんが琴、須藤英二さんがフルートを献奏した。集まった住民、歌会出席者らは、虫の音が響く境内で繰り広げられるみやびやかな催しを堪能した。

 自作を読んだ渡辺君と安保さんは「緊張した」と口々に話しながらも「しっかり読めて良かった」「楽しく読めた」と振り返った。舞で実朝役を務めた豊嶋さんは「きれいな月の下で舞えて良かった」と話した。

 出席歌人の献歌は次の通り。

 高野公彦「うす雲を月よぎりつつ雲に照る月光のさざ波のうつくし」▽佐伯裕子「山合いの社を照らす月まてりわれら小さき影となりつつ」▽梅内美華子「伊豆山の老いし草葉を励まして皓々とのぼる満ちたる月は」▽松村正直「満ち足りてあなたは眠る潮騒の月のひかりを頬にともして」

 ■琴、尺八奏者ら「巫女舞」 来宮、舞楽、雅楽なども披露

 西山町の来宮神社では「中秋観月祭演奏会」が社殿前で行われ、幽玄な舞楽や雅楽が詰め掛けた約150人の観衆を魅了した。

 中秋の名月に合わせた恒例の祭事。神事を執り行った後、巫女(みこ)と同神社を拠点に活動する大仁雅楽会、地元の琴、尺八奏者らが巫女舞「悠久の舞」、箏曲「遠砧(とおきぬた)」、管弦の「蘇莫者(そまくしゃ)」、舞楽「陵王」などを奉納、披露した。

 鎮守の森の木々の間から差す月光の舞台で繰り広げられる伝統芸能は神々しく、美しい巫女舞、悠久のときを刻む雅楽に観衆は酔いしれた。

 巫女の一人が友人という伊東市宇佐美の会社員中島沙耶さん(22)は「月も、友達の舞もきれいで見とれてしまいました」と声を弾ませた。

 【写説】さえざえとした月の下で「実朝の舞」を奉納する地元中学生=熱海市の伊豆山神社

 【写説】月光が差す本殿前で幽玄な悠久の舞を披露する巫女=熱海市西山町の来宮神社