開いたサンマにいしりしょうゆを薄く塗って仕上げる藤間さん=網代の干物屋ふじま

 ■口コミで注文広がる 日本酒、いしりしょうゆで工夫

 熱海市網代に料理人もうならせる若い干物の達人がいる。最高の材料とアイデア、手間暇を掛けた干物は「絶品」と評判で、商品力が口コミで広がり、全国の飲食店から注文が入るほど。「ハイパー干物クリエーター」の名でテレビ番組にも取り上げられ、高齢化と後継者不在で干物店の廃業が相次ぐ網代にあって「網代の干物」のブランド価値向上にひとり気を吐いている。

 達人は「干物銀座」に加工場を構える「干物屋ふじま」の藤間義孝さん(46)。高校卒業後、サラリーマンなどを経て31歳で網代の石山ひもの店に転職。10年間干物職人として修業を積み、後継者のいない同店の作業場を借り受けて独立した。

 店舗を持たない注文頼みの船出だったが、評判が評判を呼び、市内の高級旅館をはじめ全国の飲食店などから注文が舞い込むようになった。現在は首都圏を中心に北海道から沖縄まで約70の飲食店と、個人客の注文に追われる日々という。

 藤間さんが作る干物はアジ、サバ、キンメ、ハナエビ、ノドグロ、カサゴ、ビンチョウマグロの大トロ、アユなど多種多様。人気の秘訣(ひけつ)は魚を浸す塩水の濃度と時間、塩水に加える日本酒、天日干し前に塗るいしりしょうゆで、素材のうまみを最大限引き出すよう努力と工夫を惜しみなく注いでいる。

 現在は市内で干物と日本酒をメーンにした飲食店2店も経営。仕事ぶりと絶品干物は情報番組などでも度々紹介されている。

 日本酒が好きで「酒のさかなには干物が最高」というのが干物に情熱を注ぐ藤間さんの原動力。「私の作る干物が口コミで広がったように、人と人をつなぐモノでありたい。今後もおいしい干物を作り続け、網代の干物、伊豆の干物を全国に届けていく。将来は東京にも店を出したい」と熱く夢を語った。

 【写説】開いたサンマにいしりしょうゆを薄く塗って仕上げる藤間さん=熱海市網代の干物屋ふじま