伝統工芸品や現代アートをしつらえた「熱海桃乃八庵」のサロン=熱海市春日町

 ■旅館を大改修 「桃乃八庵」1日オープン 

 かつて旅館の別館として使われた熱海市春日町の築80年超の建物が大改修を経て11月1日、新しいスタイルの研修・宿泊施設「熱海桃乃八庵(とうのやあん)」としてオープンする。“目利き”が選んだ伝統工芸品や現代アートをしつらえた日本初の「キュレーションホテル」で、オーナーでインテリアデザイン・プロデューサーの沢山乃莉子さん(59)は「ここを核にネットワークを広げ、アーツ・アンド・クラフツ・ツーリズムを展開していきたい」と話す。

 キュレーションホテルは、目利きのこだわりで作り上げる宿泊施設で、滞在しながら作品を楽しみ、購入もできる。英国に先進例があるという。

 英国と日本の2拠点生活を続けていた沢山さんが昨年7月に元旅館別館を入手し、秋以降、長年取り組んできた日本の伝統工芸とインテリアを融合させる活動の集大成となるキュレーションホテルの開業を目指して大改修を進めた。

 建築当時の意匠をできるだけ残しつつ、外壁を厚くするなどして耐震化。2階には約80平方メートルの和紙畳敷きのサロンを設けた。サロンには長崎螺鈿(らでん)のキャビネットや松竹梅を描いた柱絵といった幕末期に海外に流出し、沢山さんが買い戻した美術品を現代アートと組み合わせて展示するなど、こだわりの品々で演出した。

 当面はセミナーや研修の場として使い、宿泊も参加者のみを対象にする。周辺の美術館や地元の作家、新しい業態を考えるホテル・旅館などとネットワークをつくる考えで、沢山さんは「仲間を増やしていくことで熱海がアートやクラフトをいつでも楽しめる場になったらいい」と期待を話した。

 【写説】伝統工芸品や現代アートをしつらえた「熱海桃乃八庵」のサロン=熱海市春日町