作業路が通り、日の光が差し込むようになった市有林で作業の打ち合わせをする野村さん(右)ら関係者=熱海

 ■就労者の意欲喚起 研修講師野村さん「個人でもここまで整備」

 森林所有者が森を手入れする自伐型林業を推進する熱海市が、熱海峠近くの市有林で進めているモデル林の整備が近く完了する。間伐によって日の光が差し込み、作業路が整ったモデル林はいわば自伐型林業の展示場。同市は完成を待って公開し、就労意欲の喚起に役立てたいとしている。

 森林所有者にかわって森林組合や林業事業者が施業する現行林業に対し、自伐型は所有者自ら森を管理し、低コストで森林の価値を高める環境保全型の林業。人の手が入らずに荒廃が進む人工林の再生・活用策として全国各地で取り組みが始まっている。

 総面積の約63%が森林である同市では森林資源の活用と産業化、雇用創出の一助にと、2016年度に推進事業に着手。森林所有者や興味・関心のある人を対象にチェーンソー操作、選木・伐倒、搬出、作業路敷設などの研修を開催してきた。本年度まで3カ年の研修生は計50人に上り、1期生は森林活動組織を立ち上げて間伐や下草刈りなどのボランティア活動を行ってる。

 姫の尾の市有林約2ヘクタールを活用したモデル林は、自伐型林業推進協会に委託し昨年度に整備を開始。同協会派遣の専門家で、研修会講師も務める野村正夫さん(63)=奈良県橿原市=ら数人がチェーンソーと小型重機で自伐型の手本を示す形で行ってきた。整備は全体面積の約95%まで進み、荒廃した森に作業効率と防災の両立を図った総延長約850メートルの作業路が整い、間伐が行われた森には日の光が差し込むようになった。野村さんは「個人でここまで作業路を造り、木の伐倒もできることを示したい」と話した。整備は3月に完了する見込み。同市は来年度以降公開し、新規就労者の確保などに活用する方針。

 【写説】作業路が通り、日の光が差し込むようになった市有林で作業の打ち合わせをする野村さん(右)ら関係者=熱海市熱海