熱海市が中心となった実行委員会で映画祭実施を表明する斉藤市長=市役所

 ■双方訴訟も辞さない構え

 熱海市で昨年6~7月に開催された第1回熱海国際映画祭の負債を巡る問題で、斉藤栄市長は27日、映画祭企画・運営会社「フォーカス」社長の髪林孝司氏(58)について、実行委員会業務執行組合員代表の職を24日付で解任し、今年の映画祭を市中心の実行委で開催すると発表した。髪林氏も直後に市内で会見し、斉藤市長の行為を「密室における独断専行」と批判。実行委で決議されていない解任は認められないとし、代表として映画祭を継続開催する考えを示した。両者の主張は大きく食い違い、最悪の場合、二つの熱海国際映画祭が同時開催となる異常事態に発展した。

 市役所で開いた定例会見の席上、斉藤市長は「22日に私の弁護士を交えた会談で、髪林氏からフォーカスが債務を負うとした約束に反して660万円の支払いを求められた。24日には『支払わなければ第2回映画祭のコンペ作品は上映しない』と脅迫とも取れる要求を受け、私の判断で解任を決め通知した」と経緯を説明。6月28日開幕予定の第2回映画祭は「(予備審査を通過した)素材は確保した。市中心の実行委で開催する。入場無料とし、予算内で赤字が出ないよう内容をゼロから検討する」と述べた。

 第1回の債務、グランプリ受賞作品の賞金支払いや上映、放送については「第1回と第2回は切り離したい」と市に責任がないとの認識を示した。

 市長の動きを察知して急きょ開いた会見で髪林氏は「斉藤市長の要請で15日、フォーカスが全債務保証と市に迷惑を掛けない旨の誓約書に署名、押印した。それ以前は債権債務をフォーカスと市が協議して処理するとの組合の取り決めがあるだけだった」と説明。「市との今後の協力体制を信じて押印したが、22日に市長から代表降板の要請を受けた。その条件として開催準備にかかった費用や未払い金を600万から700万円支払うよう求めた」と市長の説明と異なる経緯を述べた。代表解任については「実行委で決議されておらず認められるものではない」とした。市長が確保したとするコンペ作品は自身が管理しており「市には映画祭を開催できるノウハウはない」。第2回を引き続き実行委として規模を縮小して予定通り行う方針を強調した。

 「才能に光を」「本県初の本格的国際映画祭」の触れ込みで昨年スタートした同映画祭は、実行委の最高意思決定者である市長と代表が互いに「訴訟も辞さない」と強弁する事態に発展した。

 【写説】熱海市が中心となった実行委員会で映画祭実施を表明する斉藤市長=熱海市役所

 【写説】会見で斉藤市長の行為を「密室における独断専行」と批判する髪林氏=熱海市内のホテル