熱海国際映画祭が公表した決算サマリー。収入内訳には契約実績のない映画配給収入450万円が記載されている

 ■決算概要は虚偽か 8月末時点では未契約

 熱海市で昨年6~7月に開催された第1回熱海国際映画祭の負債を巡る問題で、実行委員会が昨年9月に公表した「決算サマリー(概要)」に虚偽記載の疑いがあることが28日、熱海新聞の取材で分かった。根拠のない「映画配給収入450万円」を記載して収入を水増しし、赤字額を過小に見せかけた可能性がある。さらに現在準備が進む愛媛国際映画祭の運営委員会代表だった熱海の実行委代表が、愛媛の資金を熱海の債務返済に充てていた疑いが新たに浮上。愛媛の映画祭を巻き込んだ公的資金の流用問題にも発展しそうな状況となった。

 20日に実行委が開いた会見で代表はサマリーについて「企業会計の発生主義に基づき作成した」と説明した。収入の根拠となるグランプリ作品に関する配給会社との契約状況を本紙が調べた結果、収支を締めた8月末時点で契約に至った案件はなく、配給会社が正式に決まったのは今年2月。450万円は過大な収入見込みで、決算に計上が認められない性質の数字であることが明らかになった。

 再集計したとして20日の会見で配布されたサマリーにも修正されずに記載されている。

 一方、実行委の資金枯渇で債務返済が滞っていた昨年12月、愛媛の映画祭を掛け持つ代表が、愛媛から支払われた準備資金約1100万円から約200万円を引き出し債務処理に流用していた疑いも浮上している。それぞれの映画祭の周辺関係者が証言した。債務は韓国映画俳優のトークショーに関する経費で、債権者が再三にわたり支払いを要求していたが、愛媛の資金が代表の口座に振り込まれた数日後に支払いが完了したという。

 代表は今年2月、業務不履行を理由に愛媛の代表の任を解かれている。同委員会は資金を引き上げたが、400万円余りの使途不明金が判明。報酬や経費などを精査した結果、約200万円が不明なまま残り、元代表に現在返還を求めているとしている。

 本紙の取材に対し代表は「サマリーは市と一緒に作成した。過大な数字だったかもしれない」などと述べ、昨年8月末の時点で配給契約が成立せず、根拠のない配給見通しを記載した事実を認めた。資金流用については「そうした事実は一切ない」と全面否定した。熱海市の斉藤栄市長は取材対応を拒否した。

 【写説】熱海国際映画祭が公表した決算サマリー。収入内訳には契約実績のない映画配給収入450万円が記載されている