鍋ものが恋しい寒い季節、南伊豆町子浦には「将軍鍋」がある。伊勢エビや野菜をみそ仕立てで煮る。豪華だから将軍と思ったが、由来を聞き驚いた。

 幕末に海路で江戸から大阪へ向かった徳川幕府14代将軍家茂は、大風で子浦に寄港。西林寺に3日間逗留した際に食べたのが将軍鍋だという。詳細なレシピは伝わらず想像で補った部分が大きいと聞くが、物語性は抜群だ。何より将軍鍋という名前は通りがいい。

 貴重な観光資源でかつて多くの民宿で提供されたが、現在は食べられる施設が減っている。町観光協会に登録する子浦の民宿は1軒のみ。あとは一部のホテルで出す程度という。埋もれさせては忍びない。機会があれば食べてみたい。(航)