子どもの頃、食卓に必ず登場したのが「海苔[のり]」。生卵とともにおかずの少なさを補い、育ち盛りの食欲を支えた。弁当にも定番で、ご飯を覆う海苔が、ふたに付いて笑ったものだった

 ▼市販の海苔は、養殖ものが主流だが、伊豆各地の特産品直売所には「地海苔」がある。磯の岩についた海苔をかき取り乾燥させた“混ざり海苔”で、火であぶると高級品とは違った香ばしさがあり、酒のつまみにもぴったり。隠れた伊豆の味である

 ▼海苔の中で忘れられないのが、「はんば」とも呼ばれる「ハバノリ」だ。ワカメに近い海藻で、海苔のように板状に乾燥させて作る。火で軽くあぶり、手で粗くもんでご飯にのせ、しょうゆをかけて食べるのが一般的。昔は朝食にも出たが、今は漁獲量が少なくてあまり流通せず、1枚千円前後と高価だ

 ▼先日、旅番組を見ていたら、熱海市の伊豆山漁港を訪れたタレントが漁師に勧められてハバノリを試食した。初めての味に「おいしい」と笑顔でほお張る姿に、地元住民としてうれしくなった

 ▼きょうは「海苔の日」。大宝律令にちなんで生産団体が制定した。伊勢エビやアワビ、サザエ、キンメダイなどに比べ地味だが、伊豆の海苔を見直すきっかけとしたい。