言いたいことを正しく人に伝えることは難しい。表現に間違いはなくても、人によって言葉の意味を違ってとられることもある

 ▼薬の服用時間として記載される「食間」は食事と食事の間のことだが、食べている間と思って、食事を中断して薬を飲む人もいる。「役不足」は自分の能力に対して役が軽いことを指すが、役に対して自分の力が不足と正反対の意味で使う人もいる

 ▼言葉は時代とともに変わり、最初は誤用とされた用法が主流となる場合もある。尊敬語として使われた「貴様」は人をののしるときに使われるようになった。「お前」も同様に現代では同等か目下の人に使われる

 ▼300年以上も変わらず人々に影響を与え続けている言葉もある。諸説あるが、江戸時代中期の平賀源内が「本日は土用の丑、鰻食うべし」と書いて店先に張り出すように言ったという説がよく知られる。現代でも「土用丑の日」という言葉を聞けば、夏の暑さに負けないために、うな丼、うな重を食べる日だと考える

 ▼現代でも短い言葉で多くのことを伝えられるキャッチコピーの役割は大きい。伊豆は温泉、海、山と魅力がいっぱいありすぎて宣伝文句が難しい。源内ならどんな言葉で表現するだろうか。