県内唯一の有人島・初島と熱海・伊東を結ぶ富士急マリンリゾートの定期船で46年にわたり船長を務めた西島徹さん(68)=熱海市下多賀=が島の住民に見送られ、最後の“船出”をする場面に先日、立ち会った。操船を終えた熱海港で「無事故で船を降りれて幸せ。皆さんのおかげです」と感慨を込め引退の弁を語った

 ▼転職して1970年6月に入社した。甲板員を経て翌年3月に船長となった。初島航路は行楽の足であり、島で暮らす人々には大事な生活の足。島民の思いを胸に、船の構造や特性も熟知して安全航行に努めてきた

 ▼操船の際は、前日や先刻と何か違うところはないか、常に探していたという。「走る勇気よりも止める勇気が大事」は、長年の積み重ねに裏打ちされた言葉だと受け止めた

 ▼同マリンの鈴木淳郎専務によると、同じ富士急グループの富士急行バスに、地球を75周する300万キロの無事故を達成した運転手がいる。西島さんの46年におよぶ無事故の実績は、この記録に匹敵する偉業という

 ▼西島さんは今後、同マリンの運航に関する「安全アドバイザー」として“陸上”で後進の指導に当たる。安全を守り、支えるその技術と心が受け継がれることを願うばかりだ。