移動したり、物を運んだり、人々の生活や社会の発展に欠かせない道。より速く、安全、便利な利用を追い求め、道は時代とともに、大きく変化してきた。古道を歩くと、先人たちの道づくりの巧みさに感心する

 ▼旧下田街道の小鍋峠がそうだ。下田市の須原と河津町の湯ケ野を直線的に約3キロで結ぶ。現在の国道414号は、くねくねと曲がり、その倍以上の距離がある。須原の人々は、大正時代にバスが走っても、歩いて小鍋峠を越え、湯ケ野温泉に通ったという

 ▼「伊豆東浦路」と呼ばれる伊豆東海岸の古道も、自然の地形を生かして上手につくられている。特に伊東市の宇佐美と熱海市の網代を結ぶ峠道は小鍋峠同様、直線的に最短で結んでいる。東浦路の最高地点を通るが、それでも標高300メートル足らずの歩きやすい山道だ

 ▼トンネルを掘ったり、橋を架けたりする技術も機械もなかったその昔、自然にあらがわず人力で切り開いた。沿道に道祖神や石仏などを建立し、旅の安全を願った

 ▼そして今、最新の土木技術を駆使し、沼津と下田を最短で結ぶ伊豆縦貫自動車道整備が進んでいる。人から車に主役は変わっても、道は昔も今も必要不可欠な社会インフラであることに変わりない。