大型連休中に久しぶりに天城山に登った。天城高原から万二郎、万三郎を周遊し、新緑の天城を満喫した

 ▼天城山の魅力の一つは、森の豊かさ。海岸から一気に標高を上げ、広大な森林を形成。緑のダムからミネラルたっぷりの清流が湧き、ワサビやアユなどを育み海に注ぐ。海では海藻の森をつくり、さまざまな魚や貝がすみ着く。伊豆の豊かな海と山の幸は、天城山の恩恵だ

 ▼「日本百名山」の著者・深田久弥氏は、「万二郎岳から万三郎岳のあたりは天城の中枢部だけあって、さすが奥山という感じがする。アセビやヒメシャラや、丈の高いシャクナゲの多いのは、暖国の山らしい」と記している

 ▼「日本百名山一筆書き踏破」で知られるアドベンチャーレーサー田中陽希氏も、昨年10月の日本ジオパーク伊豆半島大会の講演で「緑が深く、立派なブナの森が広がっている。のんびり山を楽しむにはお勧めのコース」と述懐した

 ▼その母なる天城の森が、少しずつ痩せ細っている。万二郎も万三郎も以前は展望のない山頂だったが、周囲の灌[かん]木が立ち枯れ、その間から眺望が広がっていた。下草の後退や土砂崩れによる爪痕も気になった。伊豆全体の環境問題として天城山の再生が急がれる。