左手を上げ人さし指で天を示し、険しい形相で叫ぶスーツ姿の男。右手に拳銃を握り、脇には仰向けに倒れている男性…

 ▼東京・恵比寿の東京都写真美術館で開催中の「世界報道写真展2017」(世界報道写真財団、朝日新聞社主催)を見た。男はトルコの首都アンカラであった写真展の開会式で、駐トルコ・ロシア大使を射殺した非番の警察官。その姿を捉えた(大賞作)

 ▼紛争、爆破テロ直後の現場など、生々しい写真が並ぶ。イスラム国(IS)の恐怖と食料難で古里を去ることになった5歳の子のうつろな瞳。説明文に「私には夢がない。もう何も怖いものはない」とあった。ベビーカーを押し作品を鑑賞していた母親は何を感じただろうか。密猟者に角を切り取られたサイの姿など、現代社会が抱える問題の複雑さに言葉を失った

 ▼同展を前に、都内のギャラリーで開かれた伊東の知人ら5人の写真展に行った。猫がテーマの多様な表現が興味深かった。路地裏などでしたたかに生きる彼らの方が、人間よりも幸福ではなかろうか―とも考えた

 ▼2展の被写体は大きく異なるものの、撮影者が込めた“熱”に触れた一日だった。記事とともに読者の知る権利に応える写真を届けたい。