アジサイの名所として知られる下田公園は、下田城または鵜島城と呼ばれる戦国時代の山城跡だ。今、天守台跡や空堀跡に北条の旗が掲げられている

 ▼市民有志でつくる「下田城の保存を推進する会」(佐々木嘉昭会長)が北条ゆかりの歴史を知ってもらおうと、5年前から「あじさい祭」期間中に掲出している。同会は遺構の保存とともに、往時の天守台と空堀の復元を目指して活動する

 ▼下田市史によると、下田城は1588年、北条氏が豊臣軍との対決に備えて構築した。豊臣軍は90年3月、総勢1万人を超える水軍で押し寄せた。迎え撃つ北条軍は600人。50日余りの籠城の末、開城した

 ▼城山は戦国期には湾入も深く、独立した島の様相を呈していた。中央の天守台を中心に尾根が三方に延び、先端は断崖絶壁に近い形で海に達する。尾根と尾根の間は急な谷で、天然の要害となっている

 ▼その地形の全貌を知る3次元測量調査が2015年度に行われたが、市は膨大なデータの整理・解析が未完として一般公開していない。先日、同会会員を対象とした測量報告会があり「自然の地形を生かした見事な山城であることが改めて分かった」と佐々木会長。貴重な歴史遺産の活用が望まれる。