「中心市街地で増え続ける駐車場がまちから活気を奪っている」―。熱海市でこのほど開かれたリノベーション(再生)まちづくりの会議で、講師の1級建築士事務所代表・西村浩さん(東京)は車中心の町づくりからの転換を訴えた

 ▼西村さんが先進例として挙げたのがブラジルの地方都市クリチバの都市再生。1973年、当時の市長が商店街の猛反対を押し切って中心部の目抜き通りを歩行者専用道路にした

 ▼商店主らは車止め撤去などの妨害まで試みたとされるが、数カ月後、売り上げ増を目の当たりにして賛成に転じ、その後クリチバは人口60万人から160万人都市へと発展。世界で最も都市計画が成功した例として注目を集めた

 ▼人口規模が小さく少子高齢化が進み、平たんな土地が少ない伊豆地区各市町に当てはまるわけではない。だが、中心市街地で生じた空き家、空き地が駐車場に取って代わり、活気とは無縁の殺風景な景観をつくり出している問題は全国の中小地方都市と共通だ

 ▼駐車場や車社会を否定するつもりはない。無尽蔵に増える駐車場や道路などの公共空間をにぎわい創出にどう役立てるか。今後の町づくり、都市再生を考える上で一つの鍵を握っているといえそうだ。