夜の帳[とばり]が降りる頃、町のあちこちから太鼓や笛の音が聞こえてくる。祭りが近づいていることを知らせる、この時期ならではの“町の音”が心地よい

 ▼熱海の中心市街地の各町内では毎年、7月に入ると「こがし祭り山車コンクール」に向けた子どもたちの太鼓練習が始まる。15、16日の本番では、山車に乗り込んで「熱海囃子[ばやし]」などを奏でる。「お囃子」は山車の装飾、行列とあわせて審査の対象になるだけに、練習にも力が入る

 ▼下級生をリードするかのように力強い音色を響かせる中学・高校生、父母や町内の指導者に手を取ってもらい、ばちさばきを教わる小学1年生…。地域の大人たちに見守られ、一生懸命にばちを振るう子どもらの姿を見掛けるたびに頬が緩む。祭りへの期待も高まる

 ▼山車コンクールは来宮神社例大祭に合わせて開かれる、泉都・熱海の一大イベント。今年は土、日に重なり、例年以上のにぎわいが期待される

 ▼他の観光イベントとは違い、主役は住民だ。老若男女が一体となって盛り上がり、楽しむ光景が、多くの見物客を魅了するだろう。「祭りは地域の絆、勢いを表す」とは、来宮神社の雨宮盛克宮司の言葉。今の熱海の“勢い”を間近に感じたい。