伊勢神宮・内宮参拝経験のある人なら感じたことがあるだろう。鳥居をくぐって五十鈴川を越え、参道の玉砂利を踏みしめて進む時の澄んだ空気感を。宗教心のない者でも“神域”に近づく感覚になる。日本の最高神「天照大神」を祭るだけでなく、この空気感が「聖地」と言われるゆえんに違いない

 ▼国内で他に聖地を挙げろ−と言われたら、真っ先に浮かぶのが福岡県宗像市の「沖ノ島」だ。同市の沖約60キロの玄界灘に浮かぶ島で周囲は約4キロ、初島ほどの大きさ。宗像大社の神領とされ、4~9世紀の古代祭祀の遺跡などがほぼ手つかずの状態で残る。「海の正倉院」とも言われる

 ▼沖ノ島を含む8資産の世界文化遺産登録が、9日(日本時間)決まった。名称は「『神宿る島』宗像・沖ノ島と関連遺産群」。「4資産は除外すべき」の諮問機関勧告を覆しての逆転一括登録に、地元は沸いている

 ▼一方、伊豆の国市の世界文化遺産・韮山反射炉は登録から2年間でビジターセンターがオープン、巡回バスも運行している。新たなライバル出現をプラスに転じてほしい

 ▼沖ノ島は「女人禁制」で、男性が上陸する際も全裸で海に入り身を清めなければならないという。観光振興にどう活用するのだろう。