学校を除けば何かを学ぶために長く通ったのは珠算塾ぐらいだ。練習は単調で辛いこともあったが、各級の検定試験に合格した時は努力が認められた気がしてうれしかった

 ▼合格者にはもう一つ特典が与えられた。しばらくすると伊豆新聞に名前が出るのだ。それまで新聞はスポーツや芸術などの分野で特別優秀な成績を収めた子が紹介されるのだと思っていた。扱いはまったく違うが、自分の名前を新聞紙上で見た時は驚いた

 ▼塾通いは小学4~6年の3年間だけで終わった。大人になってからも、簡単な計算は頭の中にそろばんをイメージした暗算でできる。仕事や買い物などで役立っている

 ▼授業以外にも学ぶ場は、他にいくつもある。少し考えただけでも書道、ピアノ、バレエ、ダンス、野球、水泳、バスケなど次々と浮かぶ。子どもたちが得るものはそれぞれ違う。しかし指導者たちの次代を担う子どもたちに何かを身に付けさせたい、能力を向上させたいという思いは一緒だ

 ▼今も新聞で珠算合格者の名前を見ると、その時のことを思い出す。子どもを育てるためには、地域のいろいろな力が必要だ。伊豆に生きる新聞社の一員として、微力ながら子どもたちの後押しを心掛けたい。