注文に応じて畳を希望する大きさに手際良く切り、巧みな手さばきで花瓶を置く「花台」を作り上げた。先日、伊東市内で開かれた職人技の祭典「技能祭」会場での光景だ

 ▼板金や畳、左官、電気工事などの職人が作品を展示しただけでなく、職種への理解を深めてもらうため、来場者への体験にも力を注いだ。長年にわたり受け継がれてきた熟練の技は海外で人気も高い

 ▼会場で伊東高等職業訓練校の関係者と話す機会があった。“職人事情”について聞くと「職人が減って困っている」と嘆いた。伊東市建築大工組合の加盟数は昭和50年代と比べ6分の1、1984年に25人でスタートした伊東畳商工業協同組合も10人にまで減少しているという

 ▼仕事が少なくなっているのが主な理由で、左官を例に挙げて「クロスが主流になり、壁を塗ることが減っている」と説明した。職人を育成する訓練校の存続にも危機感を募らせた

 ▼生活様式の欧米化や仕事を一手に引き受ける大手企業の影響などで、取り巻く状況は厳しさを増す。小規模事業の発注など行政も支援しているものの、抜本的な解決には至っていない。優れた技能を持つ職人は“ものづくり”に大事な存在であり、地域全体で支えたい。