子どもの頃からプロレスファン。1960年代後半から二十数年間、プロレス雑誌を定期購読するほどの“筋金入り”だった

 ▼鍛え上げられた肉体のぶつかり合いと、ダイナミックな技の応酬が魅力だが、昔は日本人−外人(外国人ではない=悪役)という構図も見どころ。外国から来た極悪非道の巨漢レスラーに、体格で劣る日本人が執[しつ]拗[よう]に痛めつけられても、最後には猛反撃して勝利する姿に夢中だった。非力な自分を善玉レスラーに投影し、悪役を成敗する姿を想像していたのかもしれない

 ▼昭和の時代から活躍している大仁田厚選手(59)の引退を記念する全国ツアーがこのほど東伊豆町で行われた。「いじめ撲滅」がスローガンで、試合前には「チビっ子プロレス教室」もあった

 ▼教室で保坂秀樹選手は基礎トレーニングなどを指導した後「レスラーは倒されても何度でも何度でも立ち上がる」「リングを下りたら絶対に人を傷つけない」などと話した。試合でも体を張って闘い、子どもたちに「いじめに負けるな」とメッセージを送っていたようだ

 ▼かつて外人レスラーには「殺人狂」「銀髪鬼」「鉄の爪」など恐ろしいニックネームが付いていたが、実際には心優しい紳士ばかりだと、後に知った。