316件・8億2183万円―。県警が昨年認知した振り込め詐欺の被害件数と被害総額である。前年に比べて件数で31件、金額で2億3986万円増加した

 ▼警察や自治体、マスコミ、金融機関が注意喚起の広報を続けるが、歯止めがかからず被害は増加傾向にある。啓発の一方、事件報道に当たる記者も無力感を覚えることがある

 ▼県警が先ごろ作製した啓発物「サギ電話撃退必携」によると、息子や孫を装って電話をかけてくる犯人のだましの手口は(1)突然不安のどん底に突き落とす(2)解決策を示して安心させる(3)冷静に考える時間を与えず現金を振り込ませる・取りに来る―が大きな流れ。作り話は変わってもだます流れは同じだという

 ▼知識を蓄えていても現実にはパニックとなり、金融機関で詐欺の疑いを告げられても「息子が大変だから」と言って聞き入れない人もいる。肉親への深い愛情と言えば聞こえはいいが、冷静さを欠けばだれもが陥る狂気ともいえる

 ▼熱海市が自宅の固定電話に接続し不審電話を遮断する専用機器を希望者に無償貸与する。50台限定で期間は来年3月まで。効果には半信半疑だが、意識啓発に加えて機械的対策を講じる時期に来ているのかもしれない。