観光を基幹産業とする伊豆半島で、南部地域は熱海や伊東などと比べ、地理的なハンディが大きい。余分に掛かる時間や交通費を補って余りある魅力がなければ、足を運んでくれない

 ▼青い海や白い砂浜、入り組んだ海岸線など自然の美しさはピカ一。幕末・下田開港の歴史も輝かしい。しかし、それだけでは不十分。自慢の自然や歴史、文化、食べ物などを十二分に生かすのが「おもてなし」である

 ▼下田市観光協会は「おもてなしマニュアル」を作成し、観光従事者を対象とした接客研修会を開催している。「おもてなしで最も大切なことは、地元の人が地元の価値を理解し、地元を好きになること」との観点から、観光スポットを見学しながら、おもてなしのポイントを学んでいる

 ▼そのマニュアルの一として「観光客に見せるものと見せたくないもの」の区別の大切さを指摘している。事例としてエアコンの室外機、清掃用具、洗濯物などを挙げているが、街中や幹線道路沿いの廃屋も「見せてはいけないもの」の代表例といえそう

 ▼下田市街地には、廃業し朽ち果てた複数の旅館が何十年も放置され、景観を台無しにしている。これは個人では解決できない問題で、行政が全力で取り組むべき課題だ。