きのうリニューアルオープンした上原美術館は、下田市郊外の稲梓地区にある。仏教館では平安時代からの仏教美術品約150点、近代館ではモネ、ルノワールなどの西洋絵画と梅原龍三郎、横山大観などの日本絵画約300点を収蔵・展示する。初めて入館した人は「こんな片田舎に、これほどの美術館があろうとは」と一様に目を見張る

 ▼稲梓は、夫・上原正吉氏(1897~1983年)とともに今日の大正製薬を築いた小枝さん(1909~96年)の出身地。小枝さんは、古里の古刹・向陽寺が廃寺となったのを悲しみ、永平寺から住職を迎えて再興した

 ▼住職から「仏像がたくさんあっても収める場所がない」との話を聞き、夫妻は私財を投じ1983年に仏教美術館を建設。2000年には長男の昭二氏(大正製薬名誉会長)が個人コレクションを寄付し、近代美術館が開館した

 ▼美術品展示に加え、特筆すべきは専門講師による絵画や仏像彫刻教室など、地域文化への貢献。仏教館の学芸員は、伊豆各地の仏像の調査・修復に協力し、多大な実績を残している

 ▼さらにリニューアルを機に、教育振興の観点から居住地に限らず高校生以下の入場料を無料とした。季節は「文化の秋」真っ只中である。