都鳥、細雪、曙、王将、高千穂…。長唄でも文学作品でもなく、ましてや力士、演歌、地名でもない。いずれもツバキの種類である

 ▼晴天だった先日、伊東市川奈の小室山公園つつじ園をのぞいてみた。早咲き種の一部が花を付け始めてはいたものの、まだ目を凝らして探さないと花が見つからない程度だった

 ▼1万5千平方メートルの敷地に、園芸種を中心に千種・4千本のツバキが植えられている。規模、種類、木の大きさでは日本有数で、例年10月上旬から4月中旬までさまざまなツバキが咲き誇る

 ▼花の多い2~3月は、約1カ月にわたり「つばき観賞会」が催される。市観光課によると、平均の人出は約2万7千人。一方、大型連休中に同公園で行われる「つつじ祭り」は1週間の短い期間ながら平均4万人を集める

 ▼園内を巡っていると、木札を見ているだけで面白い。「太郎冠者[たろうかじゃ]」「夕霧」など、いにしえを連想させる名前も目に入る。プレートに名前や花期だけでなく、名の付いた由来も載っていたならば、来園者のツバキへの興味はより高まるだろう。ツバキは伊東市の花木である。“和のテイスト”があふれる園内は、柔軟な発想と工夫次第で、より多くの人を呼び込む可能性を秘める。