伊東市沿岸の10地区は、津波対策として防潮堤のかさ上げを当面行わないこととし、足並みをそろえた。県熱海土木事務所と市が主導し、2015年度から地区ごとに各4回開催してきた津波対策地区協議会での意見を集約した結果だ

 ▼基幹産業の観光や漁業への影響−が主な理由。かさ上げにより、海が見えなくなる日常に対する住民の不安もきっとあったに違いない。海は住民に欠かせない存在になっているからだ

 ▼とはいえ、津波対策を怠る訳にはいかない。今回はハード面の整備を先送りしただけで、ソフト面の充実は急務である。今以上の津波避難ビルの確保が求められる。地震時、誰もが津波避難ビルと分かり、迅速に行動ができるよう効果的な表示も必要不可欠だ

 ▼住民も避難するための準備を整えておく必要がある。自宅から避難する場合、建物倒壊や火災などで道が通れないといった事態も想定される。家族や近所の人と複数の避難経路を把握し、素早く、確実に逃げる手だてを用意しておきたい

 ▼海岸周辺にいる場合は一刻も早く、近くにある津波避難ビルへと駆け込むしかない。相模トラフ沿いの最大クラスの地震の場合、熱海市―下田市の最短津波到達時間は3分とされる。