熱海市で10日発生した火災は住宅全焼7棟、部分焼2棟、6世帯16人が焼け出される大火災となった。けが人がなかったのが不幸中の幸いだが、家と財産を失った被災者の心労はいかばかりか

 ▼現場は中心部に近い山の手。傾斜地に建つ家々の隙間は猫がやっと通れるほどしかないところもあり、「あっという間だった」と住民が語る延焼もうなずける。消防によると、出火当時の風速は1・5メートル。仮に強風が吹いていたらと思うと空恐ろしくなる

 ▼「熱海歴史年表」によると、熱海は過去に大火を何度も経験している。最後の「熱海大火」は1950年4月13日午後5時15分ごろに渚町付近で出火。風速15メートルの強風にあおられた猛火は坂の町を駆け上がって市街地と周辺を焼き尽くし、全焼979棟、被災者1465世帯5745人の大惨事となった

 ▼伊豆地区ではほかに、46棟を全半焼した88年12月の伊東市の松原大火、昨年5月に10棟を焼いた修善寺温泉場の住宅火災などが記憶に新しい。いずれも熱海大火ほどではないが、人々を恐怖と不安のどん底に突き落とした

 ▼空気が乾燥し、季節風が強まる火災多発シーズン。火の元、家電の配線などをいま一度確認する意識、習慣を徹底したい。