戌[いぬ]年の株式相場格言は「笑う」なのだそうだ。熱海市内で開かれた賀詞交歓会ではこの格言を踏まえた「市民が笑顔で素晴らしい年になるように」というあいさつを聞いた

 ▼熱海で「いぬ」と言えば、真っ先に「トビー」の名が浮かぶ。英国の初代駐日公使ラザフォード・オールコックの愛犬だ。1859年に来日したオールコックは翌年9月に外国人として初の富士山登頂を果たした後、熱海温泉に2週間ほど滞在。この間にトビーは大湯間欠泉の熱湯に触れ、大やけどを負った

 ▼里人が親身になって手当てをし、トビーが命を落とすと手厚く弔った。この出来事に感激したオールコックが「日本人は敵視すべきではない、誠に親切な国民である」と本国に報告したことにより、英国の世論が親日に傾いた―とされる

 ▼オールコックが軍艦で送り届けた「かわいそうな トビー」と刻まれた墓碑と、熱海滞在記念碑は今も大湯間欠泉の傍らに建つ。トビーをしのぶ催しが1990年から開かれていたが2007年を最後に途絶えた

 ▼同市は大湯間欠泉を修景整備する方針だ。戌年の18年、整備を機に“愛犬物語”に再度光が当たり、熱海の人々のもてなしの心と国際親善の歴史が広く発信できるといい。