日本全国に城は2万以上あったというが、現在、見学できるのは200城ほどで、江戸時代からの天守が残っているのは12城だけ。うち国宝に指定されているのは5城しかない

 ▼中でも最も美しいといわれるのが兵庫県の姫路城だ。タレントで作家の中山千夏さんが9日付の本紙連載「ただいま雑記」で、初見学の感想をこう記している。「一度も大きな戦渦を受けていない。それで、有名な白鷺[しらさぎ]城のほかに『不戦城』の別名がある、という」「不戦城だからこそ、今、世界遺産なんていって古いままの美麗な姿をみんなが楽しめる」

 ▼やはり国宝の長野県・松本城は、別の意味で「平和」を感じる。大天守の南西に、増築された「月見櫓[やぐら]」がある。黒壁に敵を迎え撃つ狭間[さま]、石落としなど要塞的な建物とは対照的に、大きく開放的な窓と赤い欄干[らんかん]が特徴的だ

 ▼善光寺参りの折に立ち寄る徳川3代将軍・家光を迎えるため、当時の藩主・松平直政が造ったという。「平和な時代」ならではの優雅さだ

 ▼城は権力の象徴であると同時に、美しさに“何事にも動じない城主の余裕”を感じる。伊豆にも山中城や韮山城、狩野城、下田城、鎌田城などの跡があり、一部で復元運動もある。ぜひ、往時の姿を見てみたい。