「俳句を作る」「一冊を薦める」―。先日、読売新聞夕刊で読んだ人工知能(AI)に関する記事が気になった

 ▼それによると、写真をもとに俳句を作るAIを北海道大教授の研究チームが開発した。小林一茶ら著名俳人の約5万句を学習させて、風景写真を約3万枚学ばせた。画像を入力すると瞬時に作句し、季語、切れ字を使いこなすとか。一方は書店でAIを使ったお薦めの本を書店員が選んだ本と並べ、どちらが売れるか競う試み

 ▼AIの研究開発が進み活用が多様化する時代とはいえ、AIが作った句と知らずに読み、心を動かされたとしたら後味が悪くなりそうだ。小説も「書く」と聞くが、興味が湧かない。作家が魂を込めた物語こそ引かれるのだ

 ▼写真集「作家の肖像」(影書房)は92人のモノクロ肖像写真と自筆原稿を紹介する。原稿用紙の升目きっちりに、あるいは小さく読みづらい文字など個性的で、作風に通じるものを感じ取れる

 ▼熱海市名誉市民の作家・杉本苑子さんも登場し「私を支えてくれた言葉」をつづる。気品がにじみ出る筆遣いは、ほほ笑む写真と合わせて人柄を想像できる。熱海で開かれた没後1周年の企画展で公開された自筆原稿を見逃し、残念だ。