伊東市街地を流れる伊東大川(松川)で1日に行われた「松川タライ乗り競走」は、伊東温泉に夏の訪れを告げる恒例行事。不安定なタライに乗り、しゃもじの形をしたかいでこぎ、川を下る。現代版「一寸法師」と言っていいユニークな催しだ

 ▼発案者は、元伊東観光協会専務の故牧野正さん。著書「私の歩んだ道」(本社発行)の中で、ヒントは灯籠流しの板の研究時、仲居さんが流した茶の載った丸い盆、と語っている。牧野さんは盆をタライ、茶を人に見立て、コミカルな姿を想像してすぐ実行に移した

 ▼上司の了解がないとなかなか動き出せない、今の時代では想像もできないことだろう。「思い立ったが吉日」で行動した牧野さんをうらやましく思う人も多いに違いない

 ▼破天荒だったからこそ、人々の興味を誘い、マスコミを引き付けた。63回を数える今なお、伊東を代表する観光イベントとして欠かせない。同時に、イタリア・リエティ市と友好都市提携をするきっかけをつくった歴史も併せ持つ

 ▼イベントには豊かな発想と行動力、近年は発信力も重要だ。“マキノイズム”は観光・伊東の原点と言っても過言でない。斬新でユニークなイベントは、時を経ても皆に愛され続ける。