人は誰もがまったくの悪意なく、無意識のうちに障害者らを差別してしまうことがある。英語では無意識の差別を偏り、偏見の意味を込めて「バイアス」と呼ぶ

 ▼熱海市の姫の沢自然の家が1月、聴覚障害者団体の宿泊研修の受け入れを断っていたことが分かった。団体側の電話に対応した職員に事情を聴いたところ、そこには悪意がなかった

 ▼同施設は山の斜面に造られた複雑な形状と段差、耐震性能、前時代的な防災設備で、老朽化により今年9月の廃止が決まっている。職員は「火災警報器の音が聞こえないことに不安を覚えた。筆談で大丈夫だとも言われたが、施設状況を考えれば現実的でなく他の施設を薦めた」と問題となったやり取りを説明し、「事前の施設見学を提案するなど、もっと話し合えば良かった。言葉足らずだった」とも語った

 ▼2016年4月施行の障害者差別解消法では障害者への不当な差別を禁じ、行政や事業所に「合理的配慮」を求めている。今回の問題は法律の無理解もさることながら「障害者だからできない、難しいだろう」というバイアスがかかっていたとも受け止められる

 ▼良かれと思った行為や言葉でも、障害者を傷つけることがあると肝に銘じたい。