木格子で覆われた逆円すい形の建物。正面の水面に映る影は、富士山そのものだった―。富士宮市の富士山本宮浅間神社近くに昨年12月に開館した静岡県富士山世界遺産センターを訪ねた

 ▼館内は、らせんスロープがあって、麓から山頂まで疑似登山体験しながら見学する仕掛けだ。「登拝する山」「荒ぶる山」「聖なる山」など六つのテーマ展示があり、タッチパネルで納得ゆくまで富士山を学ぶことができる

 ▼山梨県側の河口湖口に続き10日、富士宮口、御殿場口、須走口の静岡県側3ルートが山開きし、本格的な登山シーズンを迎えた。5合目から登る4ルートは、噴火の痕跡が残っていたり、豪快な砂礫[されき]帯があったりと、それぞれ特徴がある

 ▼富士山は山麓や周辺25カ所の世界文化遺産構成資産を巡るのも楽しい。裾野市の須山浅間神社は江戸時代に富士講の登山者でにぎわった須山口登山道の起点。富士宮市の村山浅間神社は、平安時代末期にさかのぼる修験道の起点で、さらに苔[こけ]むした歴史を感じる

 ▼世界遺産センターは、そんな富士山の自然、歴史、文化などを多角的に紹介した施設で、富士山の奥深さを実感した。富士登山や構成資産を巡る前に訪ねれば、楽しさや興味が広がる。