伊東市八幡野の国道135号沿いにある干物店「八八ひもの」で、女性経営者と男性従業員を刃物で突き刺し、店内の冷凍庫に閉じ込めて殺害し、現金を奪った強盗殺人事件は、2012年の年の瀬も迫った12月18日に起きた

 ▼容疑者として逮捕、起訴されたのは元従業員の肥田公明被告(65)だった。一貫して無罪を主張したものの、一審・静岡地裁沼津支部の裁判員裁判は状況証拠を積み上げた検察側の主張を大筋で認め、死刑判決を下した

 ▼東京高裁に舞台を移した控訴審は、6月の第5回公判で結審した。弁護側は「駐車場に2台の車が止まり、2人の人物がいた」などの新たな目撃証拠を提示して「犯人でない可能性を示すものばかり」と主張したが、検察側は反論し、控訴棄却を求めた

 ▼事件はリゾート地として知られる伊豆高原の一角で起き、当時はその凄惨[せいさん]さから全国的な注目を集めた。あれから5年半ほどの月日が過ぎた。敷地内は雑草が生い茂り、現場となった建物は取り壊されてしまった。横にあったもう一つの建物は残り、当時を思い起こさせる

 ▼「極刑か否か」を争うという、伊豆ではこれまであまり例のなかった残忍な事件だ。東京高裁の判断が注目される。判決は30日。