東から西へと通常とは逆のルートで進んだ台風12号は、熱海市の沿岸部にも高波による大きな被害をもたらした。一過の29日、「まさかここまでひどいとは…」といった声をあちこちで聞いた

 ▼ジオサイトでもある錦ケ浦の断崖が目の前に迫るホテルの2階レストランは、海に面した大きな窓ガラスが割れた。散乱したガラスや食器、料理が残ったままの皿が積まれた光景からも混乱ぶりが伝わった

 ▼スタッフによるとレストランは満潮時でも海面から6メートル以上高い位置にあり、下部には波の力を弱めるための空洞が設けられているという。被害状況から想定以上の高波だったことがうかがえた

 ▼有料道路・熱海ビーチラインと沿線施設も被害があった。熱海料金所の熱海側では道路と海を隔てるコンクリート製の壁が流された。道沿いのホテル2軒は1階壁が損壊したり、地下の電気設備が浸水したりした。夏の行楽シーズンが本格化した週末、書き入れ時の被害だけに関係者の困惑は大きい。その中でも、懸命に宿泊客への対応や復旧作業に当たる姿があった

 ▼豪雨、酷暑、台風と「想定外」「異例」と称される災害が相次ぐ昨今、「被災」は人ごとではない。備え、対策を再度見直したい。