制服にもんぺ姿の女子学生たちが、はにかんだ表情で肩を寄せ合う―。モノクロ写真をジャケットにしたDVDを友人にもらうまで、その事を知らなかった

 ▼“鉄の暴風”とも形容された沖縄戦。南部に従軍した女子学徒隊のうち、3人の戦死者にとどまった「ふじ学徒隊」のドキュメンタリー映画だった。元学徒隊員のインタビューを軸に戦場での生死を巡る思いを描く

 ▼25人が配属された野戦病院は豊見城城跡にあり中部戦線から多数の傷病兵が送り込まれ、壮絶な治療、介護が続いた。戦況が悪化し南部の糸洲壕[ごう]に後退後、解散命令が下りた

 ▼戦闘の沈静化を待って解散命令を出した隊長は「必ず生き残り親元へ帰れ。絶対に死んではならない。凄惨[せいさん]な戦争のことを残る国民に伝えてくれ」と訓示した。夜が明け隊員らは戦が続く壕外へ出たが、隊長は自決した。生き残った彼女たちは訓示を「胸に強く抱き語り続ける決意」を持ち続けたという

 ▼以前沖縄を旅した夜、スナックに入ると経営者のおばあに「本土から来たの?」と聞かれた。沖縄戦のことは頭になく、ただ酒を楽しんだ。あの時のおばあも「沖縄の苦悩」を抱えた一人であったろう。原爆忌にはさまれた立秋に、恒久平和を願う。