「うまい」―。ふっくらした食感、絶妙な塩味加減とコクに思わずうなった。人呼んで「ハイパー干物クリエーター」の肩書も納得の高級な干物にただただ感心させられた

 ▼熱海市網代で「干物屋ふじま」を営む藤間義孝さん(46)が作った特大アジの開きを食べた率直な感想だ。聞けば、塩は網代の干物店の多くが好んで使う赤穂の天然塩。濃度をやや低めにし、隠し味に茨城産の純米酒を加えて漬け込む。時間は魚の種類、肉の厚さによって微調整する力の入れようだ

 ▼能登産のいしりしょうゆを薄く塗って天日干しに。機械乾燥は一切行わない。食べる人の「うまい」のために最高の素材と飽くなき探究心から生まれる藤間さんの干物を愛する人は全国に広がる

 ▼ご当地グルメ、B級グルメなど、近年、官民が熱心に取り組む観光振興、地域活性化策で「食」は大きなテーマとなっている。商工関係団体が認定するブランド商品も花盛り。食のイベントも伊豆各地で年中行われている

 ▼店主の高齢化と後継者不在で干物店の廃業が相次ぐ網代の「干物銀座」にあって、藤間さんは「網代の干物を全国に届けたい」と気を吐く。こうした志の高い人たちが伊豆の観光を盛り上げ、次代を切り開いていく。