熱海市がこのほど、エンディングノート「熱海だいだいノート」を作製し、希望者への無料配布を始めた。自身のプロフィルや財産、医療・介護、葬儀の希望などを書き留める“終活”の一助となるツールだ

 ▼私事で恐縮だが、最近身内を亡くし、雑多な行事や手続きに忙殺された。故人は寡黙で多くを語らず、遺言はおろか遺志を何一つ形あるものに残さなかったため、葬儀の準備などに遺族は困惑するばかりだった

 ▼葬儀の形態、通知する親類や友人、知人の範囲、財産の処理など、遺族が担う判断や手続き、作業は多岐にわたる。故人の遺志をできる限り尊重したいと願えば、遺言書やエンディングノートなどは非常にありがたいバイブルとなるだろう

 ▼熱海市からいただいたノートを試しに書いてみた。プロフィルや記録の欄は難なく埋めることはできたが、遺志に関わるページでペンは鈍った。半生を振り返り、どう生きたいかをしばし考えることとなった

 ▼終活と聞いて「まだ早い」「縁起でもない」と嫌う人もいることだろう。だが、人生の最期に向けた備えばかりでなく、立ち止まって自身の生きざまを振り返り、これからどう生きるか、どうありたいかを見つめ直す機会になりそうだ。