下田市出身の映画監督・御法川修さんの新作「母さんがどんなに僕を嫌いでも」の完成披露試写会に行った。原作をどう映像で表現するのか、興味深く見入った

 ▼原作は歌川たいじさんの実体験を元にしたコミックエッセー。大好きな母親にたたかれ、ののしられ、施設に入れられ…。愛されることなく育った青年が壮絶な過去を乗り越え、母親の愛をつかみ取るまでを描いた

 ▼主演の太賀さんも母親役の吉田羊さんも、生半可な気持ちでは演じられなかった難しさを語った。吉田さんは歌川さんから母親のエピソードを聞いても「虐待するに至った経緯が理解できなかった」と打ち明けた。御法川監督の「不完全の状態のまま演じて」との言葉が理解への一助になったという

 ▼「“人生は循環する”という気づきを原作から得た」という監督は「映画館の暗闇の中で普段抑えている喜怒哀楽を大いに解放し、人間のおかしみやいとおしさに涙を流していただきたい」と作品に込めた思いを語った

 ▼作品に情感を強く揺さぶられたのは、筆者自身が過去の記憶を重ねて見入っていたからか。太賀さんは物語の本質を「人と人が寄り添う喜び」と語る。きょうから全国公開。ぜひ、劇場で見てほしい。