熱海市教育委員会が開いた特別展「熱海の学校で見つけた歴史資料」では、PRチラシに掲載した幕末・明治の政治家三条実美の揮毫[きごう]「熱海学校」よりも、昭和の作詞家阿久悠さん直筆の初島小中校歌の歌詞の方が注目を集めたのだという

 ▼三条実美についてはNHK大河ドラマ「西郷どん」に出てくる人物だと担当職員が説明すると、関心を示す人が多かったそうだ。ほかにも大正時代に首相を務めた清浦奎吾の書などが出展された

 ▼ずらりと並んだ“お宝”を見学した女性が「有名な人の名前がたくさん出てきてびっくりした」と話すのを聞いた。「東京の奥座敷」と呼ばれた熱海には特に明治以降、政財界の要人や文人墨客が訪れ、その足跡が残る。教科書に出てくる人物を身近に感じることのできる町だ

 ▼郷土史に関する講演会や研究グループの現地調査などを取材するたびに、熱海の歴史の面白さを実感してきた。熱心に史実を掘り起こし、伝える郷土史研究家たちに多くを学ばせてもらった

 ▼その一人、鈴木徳治さんが先日亡くなった。忘れ去られた旧跡の調査・発信、資料作りに情熱を注いだ。冥福を心からお祈りするとともに、残された資料を大事に使い地域の歴史を学び続けたい。