休日、伊東の書店に寄ると「静岡書店大賞第1位」のポップ広告が目に入った。県内の書店員と図書館員が読んでもらいたい本を投票した小説部門、芹沢央さんの「火のないところに煙は」だった

 ▼その後、スーパー・ナガヤ川奈店内に間借りする「居候[いそうろう]書店」に行った。八幡野のブックカフェ「壺中天[こちゅうてん]の本と珈琲」店主・舘野茂樹さんが「街の本屋の灯[ともしび]を残そう」と構想し協力を得た試み。レジ横にあった本棚で出合った1冊をパンと一緒に買った

 ▼熱海や東伊豆、下田、沼津などのカフェやレストラン、居酒屋、ガソリンスタンド、青果店など30店舗近くが賛同し本を置く。店の雰囲気や客層、店主の趣味などに合わせ、エッセーや写真集、映画、ロック系などのジャンルを選ぶ。石垣りん、茨木のり子など女性詩人の詩集を各部屋に1冊置くホテルもあるそうだ

 ▼「地域に根ざした店を応援したい」と願う舘野さんが所有する約5千冊から選んで、月1回を目安に入れ替える。会員制交流サイトでもPRしている

 ▼舘野さんは「ふらり立ち寄った地元店の片隅にある本に手を伸ばすことで、新たな世界を知りたいという要求を満たす仕組みを提案したい」という。思わぬ出合いを楽しみたい。