「人生で経験した喜びや悲しみの感情の幅は限られているが、未知の感情に触れることができるのが映画や小説の魅力の一つ。人間のやむにやまれぬ思いはどれだけ奥深いのか、ということを体験してほしい」

 ▼下田出身の映画監督・御法川修さんは新作「母さんがどんなに僕を嫌いでも」が昨年公開された後、インタビューでそう話した

 ▼映画製作の現場に飛び込んだ御法川さんは、東京で生活し27年になる。ここ2年は、年に200日ほど映画やドラマの製作現場に立ち、それ以外は編集作業などに追われたという。覇気に満ちた表情で映画に懸ける情熱を語る姿に接しながら、作品を作り続けることの難しさを想像した

 ▼御法川さんは古里・下田でいつの日か映画祭を―との構想を温め、ライフワークの一つに考えている。ただ、今はやりたいことが山積みで多忙な日々を送っている

 ▼「母さんがどんなに僕を嫌いでも」は25日から清水町のシネプラザ・サントムーンで上映予定だ。育児放棄や虐待というテーマも含むが、母と子の愛の物語であり、明るく愉快なエンターテインメント性を併せ持つ。「面白い映画を作り上げること」に一心不乱に取り組む彼の作品を味わってほしい。